死にたいと言われたら・・・対応どうする?〈 前編 〉【うつ病と自殺と自傷についての講演会より】
『小渡里子さんを支援する会1周年報告会&学習講演会』(主催:小渡さんを支える会)へ参加してきました。
学習講演会は、蟻塚亮二氏(精神科医)による
演題
「現代のうつ病・その傾向と対策ー松本俊彦著『もしも死にたいと言われたら』より」
レジメのタイトル
「うつ病と自殺と自傷」についての勉強会
でした。
主催者のご厚意により、ブログへの掲載を承諾いただきましたので、学びをシェアしたいと思います。
こんな方々に届きますように!
『うつ病・自殺・自傷』で苦しまれている方を
- 今、サポートをなされている方
- 今、サポートの仕方がわからない方
- 今、サポートをする中で苦しんでおられる方
- 今、この情報が必要な全ての方々 へ
※私個人の解釈が入っている部分もあるかもしれません。情報の一つとして、受け取っていただければと思います。
もくじ
講師紹介
蟻塚亮二(ありつかりょうじ)⦅精神科医⦆
1947年福井県生まれ。72年、広前大学医学部卒業。85年から97年前で、青森県広前市の藤代健生病院長を務めた後、2004年から13年まで沖縄県那覇市の沖縄協同病院などに勤務。13年から福島県相馬市の「メンタルクリニックなどみ」院長を務める。
著書
「うつ病を体験した精神科医の処方せん」(大月書店 05年)
「統合失調症とのつきあい方」(大月書店 07年)
「沖縄戦と心の傷 トラウマ診療の現場から」(大月書店 14年)
「3・11と心の災害」共著(大月書店 16年)
うつ病とは
うつ病とは・・・
- 「もっとよく生きたい」から発熱して闘っている状態
うつ病になるということは・・・
- 生きる執着があるという意味
うつ病と自殺の関係
- うつ病=自殺 ではない。
⇓⇓⇓
- セーフティー地域があれば自殺する人は減る!
自殺に共通する特徴
- 問題解決(になると思っている)
- 一切の意識活動の停止
- 動機は耐え難い精神的苦痛
- 絶望と無力(絶望感と無力感でいっぱい)
- もっとよく生きたいが、出来ない自分がつらい
- 苦痛からの脱出(ができると思っている)
- 他人に対するメッセージ
自殺未遂者への対応
1.告白してくれたことに感謝すること
2.「自殺はいけない」と言ってはいけない。
※「死ぬな!」と言ってはいけない。⇒「大変だね。」と共感してあげる方がいい。
※自殺未遂者は、死にたいほど辛いのです。
3.「自殺」というストレートな表現を用いる
4.聴くこと
5.質問と明確化
※何で死のうと思ったのか。何が苦しかったのか。を聴くこと。
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死にたいほど辛いが
その問題が解決されれば
本当は生きたいのです!!
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非自殺性自傷に対する基本
非自殺自傷・自傷行為の捉え方
- 「生きるためにやっている、対処技術」になっていると捉える
体験者からの声
自傷行為は、危険なこと。
でも、決してそれは、自分が弱いからではなく、苦しくて苦しくてどうしようもなくて、でも、どうにかしたくてやってしまったのだと思います。
「自分を責めないで!」
本質
本質は・・・
- 助けを求めないで苦痛を緩和すること
非自殺自傷・自傷行為への対応
かける言葉
- 「そんなに苦しかったんだね」
- 「あなたは、生きようとしたんだね」と支える
- 「よく来たね」
- 「語ってくれて、ありがとう」
- 「言えたことが賞賛に値する」
と支持する。
肯定的な側面を伝える
- 「自傷によりつらい感情がおさまるんだね」
- 「そうやって毎日生き延びてきたんだね」
慣れに対する懸念を伝える
- 慣れてエスカレートしていってしまうこと
- 慣れに対する懸念を伝える
♥難しいなぁと思いました。特に近い関係にある場合、感情が先にきてしまいそうで、上手く伝えられるのだろうか。専門家に繋げられることを願います。
自傷行為者に対する目標
- やらないことではなく、人に言えるようになること
- SOSを言えること
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楽に生きられるのだったら
生きたい!
と思っているのです!
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実は、私たちも・・・
実は、私たちも自傷行為をやっているんですよ~
- 派手な化粧
- 飲酒
- 辛いカレー
- 高速運転 など
松本俊彦氏(精神科医)のデータより
・「死にたい」と思ったことのある人は、一般人口の20%
・「死にたい」にマイ人生哲学はいらない・・・「神学論争」はいらない
※援助者は、自分の人生哲学を語ってはいけない。
※ひたすら相手の話を聴くだけ
・「死にたい」と言えるのは・・・つらさが少しでも和らぐならば「本当は生きたい」と思っているから
※苦しみが楽になるかもしれないと思っている証拠
・「死にたい」と言える関係こそが自殺予防に資する
※日頃から「死にたい」と言える関係を作っておくことが大事
メモ書き
- 心が凍っているときは、泣けない。
⇒心があたたかくなったときに、人は泣ける。
- 「今」を肯定できること。
⇒ハイタッチができる関係
⇒今、ハイタッチができる行為に目を向ける。
- 生きているだけでいい。生きているだけで素晴らしい!
- 沖縄には、「ヌチドゥ 宝」(命は宝)という言葉がある。
⇒赤いオープンカーに乗り、祝ってもらえる文化、カジマヤーのお祝いがあって素晴らしい!
まとめ
「「せっかく、うつ病になったんだから本を書け!」と言われて『うつ病を体験した精神科医の処方せん』(大月書店 05年)を書いたんだ。」
というユニークな先生で、笑いを交えた学び深い講演会でした。
ご自分がうつになった経験があるからこその言葉には、説得力がありました。
また、
戦後の沖縄の人々の心のケアをするために、沖縄に移住し心のケアをなさった行動
東日本大震災(3.11)後は、福島県相馬市に飛び、心のケアをなさり続けている行動
スゴイなぁと思いました。
続きは、後編として
『当事者の方々への提案』と『Q&A』を書きたいと思います。
長い文章になりました。
最後まで、お読みくださり、ありがとうございました<(_ _)>